鳩小屋

落書き帳

スカイツリー

思いつきで東京スカイツリーに行ってきました。

さすが高さが600mということもあり下から写真を撮るのに相当な角度が必要でした。



天望デッキ(350m)では建物の側面が見えましたが天望回廊(450m)になるとgoogle earthのような視点でした。

スマホのカメラでも辛うじて東京タワーをとらえることができました。

VRアプリもあり、夜景だとこんな感じになるようです。

双眼鏡も持っていったのですが、もう少し倍率の高いものを持っていけばよかったです。

【赤字or凍死】絶望のマイニング暖房戦略 2022

だんだん寒くなってきたので、去年構築した仮想通貨マイニングリグ「愛称:ブラックフォートレス」を目覚めさせる時が近づいてきました。


マイニング暖房はじめました - 鳩小屋

去年の冬は暖房を一度も使わずマイニングの熱だけで過ごせました。
マイニング黄金時代で掘るだけ儲かりましたが、残念ながら今年に入ってからはあらゆる方面から逆風が吹き、採算が取れない状態になっています。
氷河期と言っても差し支えない状況です。このままエアコン稼働もマイニングもしなければ凍死してしまいます。投資だけになんつって。

5chのスレッドもご覧のとおりです。ちーん。

地合いは最悪ですが、私自身は今年度もリグを稼働させる予定です。
理由は、仮想通貨やマイニング分野の近況を踏まえて紹介します。

電気代

経費の電気代はうなぎ上りです。再エネ推進に加えてエネルギー価格の高騰で上昇に歯止めがかかりません。
家計圧迫の大きな懸念になりそうです。


通貨レート

ビットコインは栄光の時代から1/3程度に下落しています。
これを見て仮想通貨はオワコンと思われるかもしれませんが、下落しているのは仮想通貨だけではありません。

こちらのナスダック100は技術関連株を中心としたインデックス指標でapplemicrosoftをはじめた巨大IT企業やAMDNVIDIAといった半導体株などで構成されています。
さて、ナスダック100を引き合いに出した理由は、仮想通貨のレートと連動しやすいためです。
これらは直接的には関係がないのですが、IT関連株に投資する人は仮想通貨にも投資する傾向があります。
そのため、ハイテク株が下落すると仮想通貨も道連れになります。
今年はナスダック100も大きく下落しているため、悲壮感を共有していると言えます。

構成銘柄一覧|NASDAQ100(ナスダック100)特集|大和アセットマネジメント株式会社

唯一の救いは、ビットコインがドルベース資産であることかもしれません。
円安によって下落幅が縮小されるため、ドル圏の方よりは追い風が吹いています、、が、元の下落幅を吸収するほどのパワーはなく、厳しい状態であることに変わりありません。

ただし、連動しているということは株価が復活すれば、仮想通貨も復活することを意味します。
特に、年末にかけて米国株の上昇が期待されているため、仮想通貨も気温の低下に合わせて復活してくると読んでいます。

ちなみに、マイニング需要や巣ごもりPC需要の低下によって、半導体株も落ち込んでいます。
こちらは半導体株のレバレッジETF(SOXL)ですが大暴落しています。こんなの天井で掴んだら発狂ものですね。
半導体業界はコロナで需要を前借りしたような状態ですので、しばらく低迷しそうです。

グラボ価格も下落しているのですが、円安に阻まれて円建て価格はぱっとしません。
円安は味方にも敵にもなるので面白いですね。

技術仕様

マイニング環境に影響する技術的な変化も起きています。

cafe-dc.com

こちらは仮想通貨イーサリアムアルゴリズムプルーフオブワーク(Proof of Work)からプルーフオブステイク(Proof of Stake)に移行したという記事になります。
一言で言ってしまうと、マイニングに計算機パワーを使わなくなったので、従来どおりのマイニングができなくなりました。
仮想通貨は他にもあるのでマイニング自体は実施できるのですが、マイニングの掘れ高(収益性)が最も高かったイーサリアムでこちらが実施されたため、死にかけのマイニング界隈に追い打ちをかけるような出来事でした。

せっかくなのでプルーフオブワーク(Proof of Work)とプルーフオブステイク(Proof of Stake)の違いも簡単に紹介しておきます。

Proof of Work

まず、プルーフオブワーク(Proof of Work)は、直訳すると「労働の証明」です。この労働はマイニングマシンの計算機パワーを指しています。次に証明は、ブロックチェーンの安全性を指しています。労働の方はイメージが湧くかもしれませんが証明の方はいまいちピンとこないと思います。


e-yota.com

ブロックチェーンは名前の通り、ブロック単位で管理された情報が延々とつながっている構造になっています。
仮想通貨では、このブロックの中には仮想通貨の入送金情報が含まれています。この情報自体は単純でAさんウォレットからBさんウォレットにいくら送金といったシンプルな内容が並んでいるだけです。また、各ブロックは前後のブロック間のハッシュ値を保存していて改ざんされていないことを証明しています。ちなみにウォレットは公開鍵ベースで秘密鍵を持つ利用者がウォレット間で入送金できます。

まずは、ブロックチェーンは送金情報とハッシュ値が含まれている台帳のようなものであることを説明しました。
ここで、仮想通貨というお金を扱っている以上は、それなりの信頼性を担保する仕組みが必要になります。
特に、お金の入った財布や台帳が突然消失したり、台帳が書き換えられて意図しない口座に勝手に送金されてしまうと嫌ですよね。
これらは、セキュリティ3原則でいうところの可用性と完全性に該当しますが、前者は、台帳つまりブロックチェーンに記録された送金記録や個人のウォレット情報を多数のマシンノードに複製することで担保されています。

次の改ざん対策ですが、これが悩ましい問題です。ブロックチェーンを採用している仮想通貨では、ブロックチェーンの情報、つまり送金情報やウォレット情報がパブリック公開となっていて誰でも参照できるようになっています。機密性ガバガバやんけ!と思われるかもしれませんが、これは誰もがブロークチェーンに参加して協力や検証ができることも意味しています。

ただ、自由に書き換えまで行えてしまうと、不正し放題になってしまいます。台帳を書き換えてゲームの増殖バグのように数値が増やせたら通貨としては成り立ちません。
ここでやっと登場するのが、プルーフオブワーク(Proof of Work)という概念になります。これは、計算パワーを持ったノードにのみ、ブロックチェーン(台帳)を記録する権限を与えるというもので、その計算の見返りとして少額の仮想通貨を受け取れるのがマイニングという仕組みになります。まず計算機を用意するにはコストがかかるため、敷居が高くなります。さらに、ブロックチェーンは多数のマシンで構成され、それぞれのノードが台帳を共有して整合性を検証するという仕組みになっています。悪意のある参加者が不正なブロックを作成するためには、ノードの多数決による検証を出し抜く必要がありますが、それは多数の参加者のマシンを圧倒するマシンパワーを用意する必要性を意味します。現実的に考えて困難ですよね。

具体的には、ブロックチェーンにおけるブロックのハッシュを算出する際に、本来であればハッシュ値はなんでもよいですが、ビットコインではこのハッシュに意図的な制限を設けています。例えば、乱数のようなハッシュ値で100000以下の数字になったものだけを正式なハッシュ値として認める、つまりブロックの記録を許可するという仕組みになっています。ハッシュ値は計算してみないとどんな値になるかわかりませんから、条件に合致するものを見つけるには総当たり計算することになります。ここで鋭い方はハッシュは入力が同じなら毎回出力も同じではと気づいたと思います。その通りで、あえて入力値にランダム性を持たせるために、入力に可変のナンス値というものが用意されています。整理すると、マイナーは入力のナンスを書き換えながら、条件を満たすハッシュ値が現れるまで計算を続けます。このように、計算を続けながら条件を満たすナンス値とハッシュ値をいち早く計算して報酬をもらうのがProof of Workマイニングの全体像になります。

計算力を用意するほど報酬がもらえ、計算パワーがなければ正規のマイニングはおろか不正な改ざんもできない仕組みになっているのが、分散台帳技術の強みです。
PCIスロットに繋いだグラボたちは、悪意のある攻撃者による台帳改ざんを防止するという大義名分のためにハッシュ値を計算し続ける、これがマイニングリグの正体です。

Proof of Stake

こちらは私とは縁のないアルゴリズムなので私のテンションも低めです。

仮想通貨にはステーキングという仕組みがあり、預金のように一定期間仮想通貨を預けることで利子がもらえるようになっています。
Proof of Stakeでもブロックチェーンの不正を防ぎたいという目的は同じなのですが、アプローチが異なります。
Proof of Stakeでは、ステーキングで多くの仮想通貨を預けている人がブロックチェーンにブロックを記録できる(マイニングできる)ルールになっています。
これは、仮想通貨を多数保有(預金)している人が自ら通貨の価値を貶めるようなことを働かないだろう前提に基づいています。
これによって、Proof of Workのような不毛な計算は不要で、電力消費の観点からエコなアルゴリズムとされています。

ただ、預金が前提の仕組みである点、仮想通貨を多く持っている人のみがさらに稼げる点から、通貨としての流動性が失われる点や参入障壁が高くなる特徴があります。
そのため、投機目的やマイニング目的の人が仮想通貨から離れる、つまりブロックチェーンの信頼性を担保しているノード数が減る懸念もあります。
事実、Proof of Stakeに移行したイーサリアムは大きく下落したことで人気が下がったと言えます。

Proof of Stakeの前では、マイニングリグもディスプレイポートが大量にあるだけの産廃になってしまいます。
稼ぎ頭であったイーサリアムがProof of Stakeに移行したのはやはり大きな痛手だったと思います。

赤字上等の稼働

ここまで、エネルギー価格、金融、セキュリティ技術の観点から仮想通貨の動向を紹介してきました。
ブロックチェーンはお金とセキュリティ技術がうまくかみ合っている点では、個人的に面白い技術だと思います。
あわよくば、我に富をもたらし給えと言いたいところですが、おそらく現状のマイニング稼働は赤字覚悟が必要です。

ただ、リグ構築時の記事でも書きましたが、電力消費の副産物として得られる排熱を暖房替わりとすれば、ある程度の採算が期待できます。
さらに、年末にかけた米国株上昇に伴う仮想通貨の上昇も期待できる点は希望になりえます。
懸念となるのは電気代ですが、エアコンをつけても家計を圧迫するのは同じですのであんまり気にしていません。
また、仮想通貨は雑所得に該当しますが、今年度はそれなりに副収入があり、確定申告をすることになりそうです。
そこで、マイニングであえて赤字を垂れ流して雑所得の税金を相殺することも検討しています。

これらの要素を加味すればエアコン稼働よりはリターンを見込めるため、寒さに耐えられなくなった段階で稼働を開始する予定です。
夏頃は、採算が取れる見通しがなく落胆していましたが、落ち着いて状況を整理すると意外となんとかなりそうという話でした。
今からリグを構築するのは全くおすすめしませんが、すでに構築したリグの稼働をためらっている方の参考になれば幸いです。

政府からのお小遣い:為替介入連撃

金曜日の深夜、別目的でアラートを付けていたドル円の通知が鳴り響き、急激な下落を察知しました。
チャートの形から明らかな為替介入と判断でき、即座にFX口座で臨戦態勢に入りました。

ドル円は日米金利差によって強烈な上昇圧力にさらされているため、半端な介入ではびくともしないことは周知でした。実際、一度目の介入では外貨準備の残弾180兆円のうち3兆円を投入して、たった数分の円高しか実現できませんでした。このように、素人目で見ても介入規模の底は知れていましたから、下落が落ち着いた段階で資金を投入しました。
当日は、元値までは戻らなかったものの、ある程度反発した状態で終値を迎えたようでした。
チャートを見返すと、急直下でないことから、段階的な資金投入があったか、深夜のトレード量が多く買い圧力の抵抗があったのかもしれません。
いずれにせよ、予想通りに下げ止まり、即座に反発しました。

どうやら今日の朝にも為替介入があったらしく、仕込んでいた146円買→149円売の指値注文も綺麗に決済されていました。

昼休みにスマホ覗いたときは驚きましたが、1日で27マソ。ご馳走様でした。
朝の介入は市場の取引量が少なかったこともあり、きれいな急降下チャートですね。

www.bloomberg.co.jp

ふたを開けてみると、金曜日の介入には5兆円も投入されたようです。いままでの介入を合わせると軽く10兆以上使ってますね。
10兆も使ってこのザマかというのが正直な気持ちですが、日本の金融政策は八方塞がりなので仕方ないのかもしれません。
より大規模な介入も理論上は可能ですが、過度に市場を混乱させるような行為は国際的な批判の的にもなりかねないため、今後も焼石に水のような戦略のない施策を繰り返すと思われます。

ちなみに、円安の展望ですが、私は出口が見えてきていると考えています。
根拠は、円安の主要因である日米金利差の拡大が来年春ごろに打止めとなることです。
今年度は米国の政策金利がうなぎ上りに上昇したため、円安にも歯止めがかからない状態でしたが、米国の政策金利や長期債金利がピークアウトすれば円安ペースも鈍化ないしは円高に反転が期待できます。

www.wsj.com

加えて、このまま米国経済が後退すれば、円高をより後押しする事象も発生します。
ヘッジファンドは利子の低い円(日銀の低金利政策による)を借りて資金を調達し、より利回りの高い海外証券や海外債券での取引を行っています。
上記は円を売ってドルを買うような流れになるため、円安を加速させる要因にもなっていました。
ただ、こちらも近いうちに訪れるとされる米経済の後退期になると、ファンドは資産を引き上げて円を返すという逆の行動にでるため、円高を加速させます。

このように、米国政策や米金融への他力本願感は否めませんが、中期的には希望が持てるような状態となってきています。
希望的予測ですがこれらを後押しするような経済指標が発表されれば、このような流れは思いのほか早くやってくるかもしれません。
そのため、噴火している火山に急いで水をかけるような為替介入にそこまで固執しなくてもよいのではと思います。

まぁ、一個人にできることは資産運用か節約ぐらいですので、あとは何もわからずに貧乏になるか、状況を理解したうえで貧乏になるかの違いですね。
普段は丁半賭博に近いためまったくやらないFXですが、今回のように極端な勝算があればやらない手はないので、資産運用で確認している為替レートの片手間で為替介入には注視していきます。

以上、政府からの特別手当編でした。

ウクライナ戦況 リマン掃討戦

前回のイジューム奪還からウクライナ軍が東進をつづけているようです。

リマン方面

今回紹介するのはLyman(リマン)包囲戦になります。
リマンはイジューム東方にある町で9月末からウクライナ軍に半包囲されていました。

ウクライナ戦況 Spearhead Operation - 鳩小屋

ロシア軍はこの町に固執して防衛をつづけたものの、ついに耐えきれなくなり撤退を開始したようです。
ただし、すでに退路はウクライナ部隊の射程にあり一方的な掃討戦となったようです。

ロシア軍はリマン部隊の撤退を援護するためにザリチネ(赤強調マーク)へ部隊を増派したようですが、この部隊も想像を超えたポンコツだったようです。
この増援部隊はウクライナ軍に南北から挟撃されることに気付くと、すぐ隣にあるトルスクに撤退しました。
百歩譲ってそこまではよかったのですが、あろうことか追撃から逃れるために橋を爆破してしまいました。
はい。西に撤退できていない部隊がいるにもかかわらずです。

撤退車列には待ち伏せ砲撃が加えられ、徒歩で逃走する兵士は地雷や機銃で倒れていったようです。
近くの森に逃れる兵士もいたようですが、こちらもウクライナ軍が構えていたため、一方的な殲滅だったようです。
リマンの北にあるスタフキー(赤枠)では、スペツナズや精鋭を集めた部隊も十分な陣地がない状態で砲撃にさらされ、最後は機械化部隊により壊滅したようです。
リマンには正規軍も含めて数千人の部隊がいたようですが、死傷または捕虜で半数以上が戦闘不能になったと思われます。

最後に、本来であれば河川を境界とした防衛線(緑線)、国道を境界とした防衛線(青線)にラインで立て直すのが無難ですが、前述のポンコツ部隊や正規部隊の壊滅で前者はすでに突破、後者の突破も時間の問題という状況です。特に国道を境界とした防衛線の北部にあるスバトボは補給の要所であるため、ここが落ちれば補給先のロシア軍は壊走することになりそうです。

ヘルソン方面

ヘルソン方面も大きく動いているようですね。
ウクライナ側が北西から防衛線を突破して川沿いに反攻しているようです。
ロシア側は270度包囲されたような状態ですので、場合によってはリマンと同じようなことになるかもしれません。

こちらは戦況が動いたばかりですので少し様子見です。

日経ベア売却

昨日売却注文を入れていた日本株逆連動投信が収穫されていました。
こちらは日経平均が下がった分だけ上昇する逆張りレバレッジをかけたような商品です。

8月末に日経平均さんが上昇して調子に乗ってたのでどうせ落ちると思って仕込んでいましたが、うまく利がのったようです。

日経平均の円建て価格だけ見ればもう少し落ちそうにも見えるのですがドル建てを見ると相当落ち込んでいるので、短期的には反発しそうです。
なので今度は普通のレバレッジ投信を仕込んで下がればナンピンしていくような感じにしそうです。

さて、日本株式は円安ブーストでしぶといですが、米国証券はボロボロになってきてますね。
去年末あたりに資産をある程度引き上げていたのでほぼ無傷だったのですが、6、7月の下落時に仕込んだ米国投信たちは含み損ゾーンに突入していきそうです。
複利効果もあるので中長期保有で放置すれば問題なさそうですが、短期的な反発で逃げ切れそうであれば利確するかもしれません。

今年以降は大局的に下落トレンドが続く見込みですので、短期と長期の視点で慎重な運用が求められそうです。
できる限り現金や債券比率を高めて買い場をじっくり待つのが賢明だとは思いますが、少しは運用しないとつまらないので欲望と恐怖の航海を続けていきます。

為替介入発動

www3.nhk.or.jp

政府と日銀が為替介入に踏み切ったようです。
この為替介入は国内のインフレ圧力要因の一つとなっている円安を「ドルを売り円を買う」ことによって押さえつける政策になります。より具体的には、国が保有する外貨資産を売却して円と交換(購入)する流れになります。

普段買っている食料品の値上がりに苦しんでいる身としては期待感もありますが、この為替介入にはいくつか注意点があります。

為替介入の限界

まず、実施できる為替介入には上限があるということです。為替介入で売却できる外貨資産は、イコール国が保有する(貯め込んだ)外貨資産の額面になります。
日本の外貨準備は1兆3000億ドル(185兆円)ですので、単純にこれが円買いの上限になります。加えて、国が保有する外貨資産の8割(1兆ドル)は外貨建て証券で、内訳の大半が米国債とみられています。つまり、政府が為替介入に踏み切った場合、米国債を売って円を買うという流れが中心になります。すると、米国債の価格が下落する(大量売却による需要低下)一方で米国債金利は上昇します。これは結果的に、日米金利差が拡大すること(日本は低金利のまま、米国金利が上昇する)を意味します。投資家は低金利から高金利に資産を映す傾向がありますから「円売りドル買いを始める」ことになります。この「円売りドル買い」は現在の円安の根本原因ですので、日本の為替介入が本末転倒の結果を招いた挙句、国の外貨準備を浪費するだけの結果に終わるという危うさも内包しています。

という見方もあるのですが、米国FRBのリバースレポファシリティーという仕組みを使えば米国債を担保としてドルを借り入れることができ、米国債の売却を回避(あとでドル払いで返せば担保の米国債が返却されます)できるため、上記のようなリスクは以前よりは低下しているとの情報もあります。

www.bloomberg.co.jp

外貨準備の喪失

為替介入で売却する外貨準備は、何の意味もなくため込んでいるわけでなく、通貨価値が暴落しても国際決済を行うための手段になります。
もう少しかみ砕くと、深刻な通貨安が進んだ状態における外貨建ての支払いが大きな財政負担となり困難となった際に、外貨資産による支払いは自国通貨安による影響を受けずに確実な決済ができる国家経済の防波堤として機能します。そのため、外貨準備が存在しない状態で通貨危機が発生した際にはデフォルト(国家破綻)のリスクが高まります。

最近の外貨準備の話題としては、ロシアへの経済制裁や韓国のウォン安が挙げられます。前者はウクライナ侵攻に伴ってドル決済から締め出されたことで外貨獲得の手段を失っている状況になります。結果的にロシア経済はドル建て支払いによる外貨準備の喪失や輸入制約に苦しんでいる状況になります。後者は、ウクライナ侵攻に伴う通貨安に対応するため、日本よりも先行して為替介入に踏み切った結果、外貨準備を強烈な側で喪失しているにも関わらずウォン安を止められていない状況になります。特に、空売りによってウォン安を誘導して、為替介入で上昇した差額分を利益とするため、国家予算並みの資金を持つ投資ファンドに標的とされ始めている点も気になるところです。

米国との外交摩擦

為替介入は国際的にタブーな手段とされているところも注意点といえます。これは、為替が輸出入の損益をはじめとして国家間の経済バランスに大きな影響力を持っていることが理由となります。例えば、輸出が盛んな国では自国通貨安を誘導することで、容易に貿易黒字を拡大することが可能です。一方、他国の為替介入によって割を食う国も発生してきます。すると、国家間で自国で有利な為替操作を競い合う競争が発生します。また、為替操作の能力は国家の経済規模に比例するため、このような競争が起これば、経済規模の小さい国家が追い込まれたり、お互いに外貨準備を消耗しあうような不毛な争いに発展します。このような理由で米国は為替介入を忌避する傾向がありますので、米国の同意がない日本政府による独断であった際には、外交摩擦に発展するリスクもあります。とりわけ、ドル安を誘導するということは米国が最も神経質になっている自国インフレに悪影響を及ぼす(輸入品の価格高騰など)懸念から反発される可能性もあります。
こちらについては、米財務省が「最近高まっている円のボラティリティー(変動性)の抑制を狙った行動だとしており、われわれはそれを理解した」と発表していて、それほど気にする必要はないかもしれません。

news.yahoo.co.jp

国内証券への影響

最後は、物価ではなく金融市場への影響ですので、資産運用していない方には関係ない内容になります。

こちらは日経平均の円建てとドル建てのチャートになります。一目瞭然ですが、ドル建て価格が下落しているのに対して、円建て価格はあまり下落していないことが分かります。
これは、ドル建て価格が急激な円安によって価値が目減りしていることを意味しています。別の見方をすれば、国外投資家からは日経平均が割安に見え、比較的資金が流入している状態といえます。
ここで、為替介入によって円高が加速した場合、ドル建て価格は上昇しますが海外投資家による売りが加速することで、円建て価格は下落することが予想されます。

このように株式や国債も為替と強い相関関係があり片方が変化すればもう片方も変化するといった影響があります。
実際にはここまで単純ではないと思いますが、こういった影響も予測できるようになると何気ないニュースの一面でしかない金融情報も理解に深みが出てくる気がします。

おわり

ここまで為替介入に関する妄想を垂れ流してきましたが、この政策自体が吉と出るか凶と出るかまではまったく分かりません。
ただ、家計や資産運用に直結していることは確かなので注視していきます。