鳩小屋

落書き帳

ガス価格メモ

都市ガス代について少し調べてみたのでメモです。
正直、調べたものの複雑すぎてあんまり理解できませんでした。
やはり地球規模のあらゆる要因で価格が決まるので難しいですね。

ただ、何も知らずに価格高騰に苦しむよりは少しでも納得して過ごせた方が幸せなのでなんとなくでも理解できてよかったです。

天然ガス価格の推移

はじめに近年の 天然ガス価格推移です。



天然ガス(ヨーロッパ)価格の推移 - 世界経済のネタ帳

コロナ拡大時にはエネルギー需要が激減したことで大きな価格下落が起きていますが、ワクチン接種が一定程度進んだことで経済が急回復し、エネルギー需要が増大したことで価格上昇が起きてきた、というのが2020~2021年頃の流れのようです。経済活動の他にもLNG船がパナマ運河に押しかけたための大渋滞や関連設備での事故、ストライキなど、価格を押し上げる要因もあったようです。

また、欧州と日本の天然ガス価格を比較すると、平時(コロナ前)は日本の方が高いことが分かります。
これはパイプライン輸送と海上輸送(LNG)のコスト差が主な要因です。
日本は海上輸送がメインですので陸路調達の欧州と比較して元からエネルギー費が割高でした。

欧州ではウクライナ侵攻関連で陸路調達が崩壊したことで海路輸送へのシフトが起こり、2022年に爆発的な価格上昇が起こりました。
一時期は光熱費が家賃に匹敵するほどと言われていましたが、サプライチェーン再構築、暖冬、経済後退によって需給の問題が多少解決されてきています。

日本は、長期契約や元からの割高価格によって比較的なだらかな上昇となっています。
多方面のエネルギー調達戦略によってロシアに強く依存していなかったことも功を奏したようです。

都市ガス代の仕組み

都市ガス代は、ほぼ輸入に頼る石油やLNGの日本着価格や為替レートの変動をもとに3カ月間の平均価格を算定し、各社ごとの基準価格との変動額を3カ月後の料金に反映します。
そのため、同時期の天然ガス調達価格と家庭の都市ガス代反映には数か月の遅延が発生します。
つまり、12月の都市ガス代は同年夏頃~秋頃の天然ガス調達価格の影響を受けています。
とりわけ、この時期は天然ガス調達価格の高騰に加えて、円安も進んでいたため、最悪の状況だったと言えます。

原料費調整制度|東京ガス

これが天然ガス価格が急落しているにも関わらず今冬の都市ガス代が急騰しているカラクリです。(たぶん)

ちなみに、最近ガス代が高いにも関わらずガス会社が増益していると話がありますが、これは主に調達価格が下がっている状況下でピーク価格で供給をしているためです。
逆に、調達価格がピークしていた夏頃~秋頃にはガス会社は大きな打撃を受けていたはずです。

ですので、ガス会社に文句を言うのはお門違いのようです。

今後の見通し

今後の都市ガス代を予測する上で重要なのは前述のとおり日本着価格(ドル建て)や為替レートになります。
前者についてはすでにピークアウトしていることから今後の価格下落要因になりえます。さらに、為替レート(ドル円)についても150円から130円近辺まで落ち着いているため、一定の期待が持てます。

ただ、LNGの供給強化には液化プラントや輸送設備など、相応の投資が必要になります。
これらの整備・増強には数年かかるとみられ、LNG需要増加の根本原因となっているウクライナ侵攻が収まらない限り、1,2年前の水準までは戻らず高止まりが予想されます。
為替レートについても、米国の政策金利や日銀の政策変更によって乱高下が見込まれるため、こちらに期待するのはギャンブルに等しいでしょう。

一応、都市ガス代金は2月検針分から10月検針分まで政府の負担軽減策が適用されることが決まっていますので、少なくとも12月~1月よりはマシになりそうです。