鳩小屋

落書き帳

【赤字or凍死】絶望のマイニング暖房戦略 2022

だんだん寒くなってきたので、去年構築した仮想通貨マイニングリグ「愛称:ブラックフォートレス」を目覚めさせる時が近づいてきました。


マイニング暖房はじめました - 鳩小屋

去年の冬は暖房を一度も使わずマイニングの熱だけで過ごせました。
マイニング黄金時代で掘るだけ儲かりましたが、残念ながら今年に入ってからはあらゆる方面から逆風が吹き、採算が取れない状態になっています。
氷河期と言っても差し支えない状況です。このままエアコン稼働もマイニングもしなければ凍死してしまいます。投資だけになんつって。

5chのスレッドもご覧のとおりです。ちーん。

地合いは最悪ですが、私自身は今年度もリグを稼働させる予定です。
理由は、仮想通貨やマイニング分野の近況を踏まえて紹介します。

電気代

経費の電気代はうなぎ上りです。再エネ推進に加えてエネルギー価格の高騰で上昇に歯止めがかかりません。
家計圧迫の大きな懸念になりそうです。


通貨レート

ビットコインは栄光の時代から1/3程度に下落しています。
これを見て仮想通貨はオワコンと思われるかもしれませんが、下落しているのは仮想通貨だけではありません。

こちらのナスダック100は技術関連株を中心としたインデックス指標でapplemicrosoftをはじめた巨大IT企業やAMDNVIDIAといった半導体株などで構成されています。
さて、ナスダック100を引き合いに出した理由は、仮想通貨のレートと連動しやすいためです。
これらは直接的には関係がないのですが、IT関連株に投資する人は仮想通貨にも投資する傾向があります。
そのため、ハイテク株が下落すると仮想通貨も道連れになります。
今年はナスダック100も大きく下落しているため、悲壮感を共有していると言えます。

構成銘柄一覧|NASDAQ100(ナスダック100)特集|大和アセットマネジメント株式会社

唯一の救いは、ビットコインがドルベース資産であることかもしれません。
円安によって下落幅が縮小されるため、ドル圏の方よりは追い風が吹いています、、が、元の下落幅を吸収するほどのパワーはなく、厳しい状態であることに変わりありません。

ただし、連動しているということは株価が復活すれば、仮想通貨も復活することを意味します。
特に、年末にかけて米国株の上昇が期待されているため、仮想通貨も気温の低下に合わせて復活してくると読んでいます。

ちなみに、マイニング需要や巣ごもりPC需要の低下によって、半導体株も落ち込んでいます。
こちらは半導体株のレバレッジETF(SOXL)ですが大暴落しています。こんなの天井で掴んだら発狂ものですね。
半導体業界はコロナで需要を前借りしたような状態ですので、しばらく低迷しそうです。

グラボ価格も下落しているのですが、円安に阻まれて円建て価格はぱっとしません。
円安は味方にも敵にもなるので面白いですね。

技術仕様

マイニング環境に影響する技術的な変化も起きています。

cafe-dc.com

こちらは仮想通貨イーサリアムアルゴリズムプルーフオブワーク(Proof of Work)からプルーフオブステイク(Proof of Stake)に移行したという記事になります。
一言で言ってしまうと、マイニングに計算機パワーを使わなくなったので、従来どおりのマイニングができなくなりました。
仮想通貨は他にもあるのでマイニング自体は実施できるのですが、マイニングの掘れ高(収益性)が最も高かったイーサリアムでこちらが実施されたため、死にかけのマイニング界隈に追い打ちをかけるような出来事でした。

せっかくなのでプルーフオブワーク(Proof of Work)とプルーフオブステイク(Proof of Stake)の違いも簡単に紹介しておきます。

Proof of Work

まず、プルーフオブワーク(Proof of Work)は、直訳すると「労働の証明」です。この労働はマイニングマシンの計算機パワーを指しています。次に証明は、ブロックチェーンの安全性を指しています。労働の方はイメージが湧くかもしれませんが証明の方はいまいちピンとこないと思います。


e-yota.com

ブロックチェーンは名前の通り、ブロック単位で管理された情報が延々とつながっている構造になっています。
仮想通貨では、このブロックの中には仮想通貨の入送金情報が含まれています。この情報自体は単純でAさんウォレットからBさんウォレットにいくら送金といったシンプルな内容が並んでいるだけです。また、各ブロックは前後のブロック間のハッシュ値を保存していて改ざんされていないことを証明しています。ちなみにウォレットは公開鍵ベースで秘密鍵を持つ利用者がウォレット間で入送金できます。

まずは、ブロックチェーンは送金情報とハッシュ値が含まれている台帳のようなものであることを説明しました。
ここで、仮想通貨というお金を扱っている以上は、それなりの信頼性を担保する仕組みが必要になります。
特に、お金の入った財布や台帳が突然消失したり、台帳が書き換えられて意図しない口座に勝手に送金されてしまうと嫌ですよね。
これらは、セキュリティ3原則でいうところの可用性と完全性に該当しますが、前者は、台帳つまりブロックチェーンに記録された送金記録や個人のウォレット情報を多数のマシンノードに複製することで担保されています。

次の改ざん対策ですが、これが悩ましい問題です。ブロックチェーンを採用している仮想通貨では、ブロックチェーンの情報、つまり送金情報やウォレット情報がパブリック公開となっていて誰でも参照できるようになっています。機密性ガバガバやんけ!と思われるかもしれませんが、これは誰もがブロークチェーンに参加して協力や検証ができることも意味しています。

ただ、自由に書き換えまで行えてしまうと、不正し放題になってしまいます。台帳を書き換えてゲームの増殖バグのように数値が増やせたら通貨としては成り立ちません。
ここでやっと登場するのが、プルーフオブワーク(Proof of Work)という概念になります。これは、計算パワーを持ったノードにのみ、ブロックチェーン(台帳)を記録する権限を与えるというもので、その計算の見返りとして少額の仮想通貨を受け取れるのがマイニングという仕組みになります。まず計算機を用意するにはコストがかかるため、敷居が高くなります。さらに、ブロックチェーンは多数のマシンで構成され、それぞれのノードが台帳を共有して整合性を検証するという仕組みになっています。悪意のある参加者が不正なブロックを作成するためには、ノードの多数決による検証を出し抜く必要がありますが、それは多数の参加者のマシンを圧倒するマシンパワーを用意する必要性を意味します。現実的に考えて困難ですよね。

具体的には、ブロックチェーンにおけるブロックのハッシュを算出する際に、本来であればハッシュ値はなんでもよいですが、ビットコインではこのハッシュに意図的な制限を設けています。例えば、乱数のようなハッシュ値で100000以下の数字になったものだけを正式なハッシュ値として認める、つまりブロックの記録を許可するという仕組みになっています。ハッシュ値は計算してみないとどんな値になるかわかりませんから、条件に合致するものを見つけるには総当たり計算することになります。ここで鋭い方はハッシュは入力が同じなら毎回出力も同じではと気づいたと思います。その通りで、あえて入力値にランダム性を持たせるために、入力に可変のナンス値というものが用意されています。整理すると、マイナーは入力のナンスを書き換えながら、条件を満たすハッシュ値が現れるまで計算を続けます。このように、計算を続けながら条件を満たすナンス値とハッシュ値をいち早く計算して報酬をもらうのがProof of Workマイニングの全体像になります。

計算力を用意するほど報酬がもらえ、計算パワーがなければ正規のマイニングはおろか不正な改ざんもできない仕組みになっているのが、分散台帳技術の強みです。
PCIスロットに繋いだグラボたちは、悪意のある攻撃者による台帳改ざんを防止するという大義名分のためにハッシュ値を計算し続ける、これがマイニングリグの正体です。

Proof of Stake

こちらは私とは縁のないアルゴリズムなので私のテンションも低めです。

仮想通貨にはステーキングという仕組みがあり、預金のように一定期間仮想通貨を預けることで利子がもらえるようになっています。
Proof of Stakeでもブロックチェーンの不正を防ぎたいという目的は同じなのですが、アプローチが異なります。
Proof of Stakeでは、ステーキングで多くの仮想通貨を預けている人がブロックチェーンにブロックを記録できる(マイニングできる)ルールになっています。
これは、仮想通貨を多数保有(預金)している人が自ら通貨の価値を貶めるようなことを働かないだろう前提に基づいています。
これによって、Proof of Workのような不毛な計算は不要で、電力消費の観点からエコなアルゴリズムとされています。

ただ、預金が前提の仕組みである点、仮想通貨を多く持っている人のみがさらに稼げる点から、通貨としての流動性が失われる点や参入障壁が高くなる特徴があります。
そのため、投機目的やマイニング目的の人が仮想通貨から離れる、つまりブロックチェーンの信頼性を担保しているノード数が減る懸念もあります。
事実、Proof of Stakeに移行したイーサリアムは大きく下落したことで人気が下がったと言えます。

Proof of Stakeの前では、マイニングリグもディスプレイポートが大量にあるだけの産廃になってしまいます。
稼ぎ頭であったイーサリアムがProof of Stakeに移行したのはやはり大きな痛手だったと思います。

赤字上等の稼働

ここまで、エネルギー価格、金融、セキュリティ技術の観点から仮想通貨の動向を紹介してきました。
ブロックチェーンはお金とセキュリティ技術がうまくかみ合っている点では、個人的に面白い技術だと思います。
あわよくば、我に富をもたらし給えと言いたいところですが、おそらく現状のマイニング稼働は赤字覚悟が必要です。

ただ、リグ構築時の記事でも書きましたが、電力消費の副産物として得られる排熱を暖房替わりとすれば、ある程度の採算が期待できます。
さらに、年末にかけた米国株上昇に伴う仮想通貨の上昇も期待できる点は希望になりえます。
懸念となるのは電気代ですが、エアコンをつけても家計を圧迫するのは同じですのであんまり気にしていません。
また、仮想通貨は雑所得に該当しますが、今年度はそれなりに副収入があり、確定申告をすることになりそうです。
そこで、マイニングであえて赤字を垂れ流して雑所得の税金を相殺することも検討しています。

これらの要素を加味すればエアコン稼働よりはリターンを見込めるため、寒さに耐えられなくなった段階で稼働を開始する予定です。
夏頃は、採算が取れる見通しがなく落胆していましたが、落ち着いて状況を整理すると意外となんとかなりそうという話でした。
今からリグを構築するのは全くおすすめしませんが、すでに構築したリグの稼働をためらっている方の参考になれば幸いです。