鳩小屋

落書き帳

波乱の金融情勢と今後

今週は金融市場のイベントが目白押しで大きな動きがありました。
近況の出来事と今後の金融見通しについて妄想を垂れ流します。

出来事

中間選挙

中間選挙は今後の政策動向を決める重要なイベントになります。

民主党大統領の任期中に上院下院を共和党が押さえるようなことになれば、異なる政党がそれぞれ力を持つことになりますから、政策決定が遅延したり、共和党寄りの内容に傾いていくことが予想されます。

金融市場からすれば、政策決定が鈍化した方が市場を脅かすサプライズ(増税など)が起こりにくくなるため、共和党の方が好感されるとされています。
また、共和党ウクライナ支援から手を引くような表明をすれば、停戦が近づく→経済が安定する(インフレ緩和など)期待感から金融市場が活性化することもあり得ます。

www.yomiuri.co.jp

11/12 現在、どちらも過半数の獲得には至っておらずもう少し時間が必要なようですね。

開票期間中は市場が揺れ動いていたようですが、短期決着とはならず金融市場への影響は限定的となっています。

仮想通貨取引所の破綻

今週から仮想通貨業界を騒がせている出来事です。
結論からすると、大きな仮想通貨取引所が破綻しました。

news.yahoo.co.jp

仮想通貨取引所法定通貨(円やドル)と仮想通貨(ビットコインイーサリアム)を交換する取引所で、単体では金銭価値のない仮想通貨に、法定通貨に紐づく金融資産として価値を与える業種になります。
今回問題となったのはFTXという取引所ですが、今年の仮想通貨の暴落に伴って財務が悪化したうえに、顧客資産を勝手に使い込んで投資に失敗したことで致命傷を負ってしまったようです。

仮想通貨の下落による財政悪化自体は仕方がないものの、顧客資産を使い込んで溶かすという最悪の行為が露呈したことで、仮想通貨取引所や仮想通貨自体の信頼が失墜して暴落が起きました。

www.coindesk.com

さらに、FTX ウォレットから資金が外部に流出しているという記事もあり、もし利用者が預け入れていた資産が戻ってこないようなことになれば、仮想通貨業界は一段と厳しい状況に置かれるかもしれません。

ちなみに、仮想通貨から流出した資金は証券、債券、もろもろの商品に流れ込むことが期待できますので、金融市場にはプラスに働きます。(連鎖倒産とかにならなければ。。)
あと、これは技術的な問題ではなく、運用している人の問題ですので、それは勘違いしないようにしないといけません。

追記:想像以上でした。たまげたなぁ。

CPI

消費者物価指数は、米国が陥っている深刻なインフレの度合いを表す重要な経済指標になります。
指数を占める原油価格や住居費が下落していることから、インフレのピークアウトが囁かれていましたが今回の結果はそれを裏付けるものとなりました。

www.bloomberg.co.jp

米国のFRBはこれらの指標などを参考にしながら政策金利の引上げをおこなっていますから、今回の低下を受けて金利引上げのペースが鈍化すると受け取られています。
金利上昇は株式とシーソーのような関係にあり、低下ないしは低下する見通しが示されれば、金融市場は好感して勢いを取り戻します。

特に金利の影響を受けやすいとされるハイテク関連株は今週暴騰しました。
このシナリオを程度想定して仕込んでいたハイテクETFも覚醒しています。



ドル円暴落

米国CPIの発表をうけて、米国の債券金利が低下したことから、150円近辺で停滞していたドル円もたった数時間で10円近く下落しました。
為替でこれほど変化が起きるのは珍しく、注目すべき出来事になります。

円高に振れたことから、物価上昇に歯止めがかかることも期待できますが、米国のインフレが完全に鎮静化していないことを考慮すれば、今後も円安方面に傾くことは十分あり得ます。
また、円高はドル建て資産には逆風ですので、CPIによって上昇した株価も円高に相殺されてしまうことになります。
積み立て資産もパッとしない感じですね。含み損になっていないだけ感謝するべきなのかもしれませんが。。


ヘルソン撤退

ウクライナ戦況 東部戦線(Svatove~Bakhmut) - 鳩小屋

こちらの後半でも取り上げましたが、ロシアがヘルソン撤退を決めたことから、他戦線の戦闘激化が予想されます。
冬を利用した何らかの仕掛けをしてくる可能性もあり、インフレの再燃を助長するような出来事が起これば、FRBによる金利上昇も勢いを取り戻すかもしれません。

今後の見通し

長期目線:景気後退への突入

金融市場では、経済サイクルも理解しておく必要がありますが、直近ではGAFAMの決算が参考になります。

はじめに景気と金融は別物であることを補足しておきます。
景気は企業の業績や雇用状況などの実体経済の現状を表していますが、金融市場は経済の今後を株価として織り込む先見性があります。(今後上がりそうだから購入する等)
そのため、景気と金融相場の強弱サイクルには微妙なズレがあり、これには政策金利の上下も絡んでいます。(債券と政策金利も厳密には別物ですが割愛します)

さて、今年は金利が上昇し始めていたことから逆金融相場で株価が下落していたと考えられています。
つまり、金利が上昇することによって企業の資金繰りが悪化していくという見通しで、株価が下落していたという状況です。

この次に控えている景気サイクルは逆業績相場です。
これは金利上昇によって実際に企業の業績が悪化し、決算発表に反映されてくる時期になります。


金利と株価の関係は?|後藤達也|note

ここで最近発表されたGAFAMの決算を見ると、ボロボロになっていることが分かります。
理由は不況を見据えて企業が広告を減らしたことによる広告収入の低下やドル高による輸出製品へ利益相殺などが挙げられています。

いずれにせよ、これらの結果は金利上昇による影響で業績が悪化がしているシグナルの一つといえます。

今後もこのような実体経済の悪化が続くと考えられ、2023年度にかけて経済は全体的に冷え込むと考えられます。
それに伴って、追い打ちをかけるように株価は一段と下落していくことが予想されます。

ただ、金利上昇や景気状況は様々な要因が絡んで動きますから、具体的な時期まで明確に見通すことは不可能です。
そのため、現在は逆業績相場という不況の入り口にあることを正しく認識して、その中で長期・短期の投資戦略を練っていく必要があります。

短期目線:年末の株価上昇

はじめに米中間選挙後には株価は上昇する傾向(アノマリー)があり、今がまさにその始まりとなっている可能性があります。

米中間選挙と株式市場のアノマリーを確認 中間選挙後の株価は高い勝率で上昇見込み | 三井住友DSアセットマネジメント

急激な金利上昇に伴う逆金融相場で下落した状況からの一時的な上昇も期待される雰囲気の中で、CPIによる後押しもあるためこの流れをうまく利用できれば、効率的に資産を増やすチャンスとなるかもしれません。ただ注意すべきなのは、株価はこまめな上下を繰り返しながら上昇していく点や中期的(年明け頃)には大きな下落も予想される点です。

そのため、①米中間選挙の上昇アノマリーに乗る短期投資と②愚直に積み立て投資を続ける長期投資が無難と考えています。
①は参加タイミングや利確タイミングを誤れば、下落に巻き込まれる可能性もあるため、日々経済関連の情報に気を配る必要があります。さらに、ドル建て資産は円高が逆風となるため注意も必要です。

次に②の方針は、株価下落中に株価を段階的に買い集めて置き、次の上昇相場(好景気)で売却するという投資戦略になります。
現在株価が大きく下落していて天井と底であれば間違いなく底に近いため、積み増しをしておけば短期的には含み損を抱えることはあっても、数年後の好景気でほぼ確実にリターンを狙えます。
長期積立は毎月自動でお金を投入するのみで経済ニュースに気を配る必要もないため、ルーズな方や初心者にはおすすめです。
不況は持ち株が下落する一方で次の好景気に備える絶好の買い場になりますから、積み立て投資を始める時期としては悪くないと思います。

このように、短期的には利上げ見通しや米中間選挙のあのアノマリーから一時的な上昇が期待できるものの、年末明けには企業業績の悪化やウクライナ情勢によるインフレ再加熱といった爆弾も抱えているため、愉快な相場が続きそうです。

来年度のリスク要因はこの記事がよくまとまっています。
media.rakuten-sec.net

今年の相場は、コロナやウクライナ戦況から派生した要因が絡み合って株価が上下する複雑な様相を呈していますが、これは金融スキルを一気に高められるチャンスでもあるのでリスク管理を行いながらも楽しみたいと考えています。