鳩小屋

落書き帳

【怠惰なる講師】放置プレイエンジニアリング

リモートワークが普及して研修もリモートで実施されることが多くなりました。
特に技術研修は資料に加えて演習環境も用意する必要があるため、講師側にはめんどうなお仕事になります。
そこで今回はリモート研修を省力化してスムーズに実施するためのテクニックを紹介します。

リモート会議ツール

リモートであっても口頭でのやり取りは少なからず発生します。そのため、ZoomやTeamsの会議機能は必須になります。
リモート会議ツール自体は、資料投影と演習環境のトラブルシューティングで画面共有ができれば十分なはずです。

丁寧な資料

リモート環境では、口頭のやり取りや視覚情報の共有に時間がかかり、質問やトラブルシューティングの多発が研修時間の浪費につながります。
この問題を解決するためには、初歩的ですが資料を丁寧に作成することが重要です。

「このボタンを押下してこのボタンを押下するとこんな画面が表示されます。このコマンドを実行すると、こんな出力がでます。」
こんな具合で実作業は省略・抽象化せず、スクショや吹き出しなどをふんだんに利用して、具体的かつ誰でも再現できるようにしておきます。

別の表現をすれば、資料どおりに進めれば口頭説明が要らないぐらいの出来にしておきます。
リモートの弱点であるコミュニケーションの発生自体を削減できれば、講師対応はいくぶん楽になります。

雑務の自動化

研修本体以外にもめんどくさい作業は発生します。
例えば、受講者とのメール送受信、受講者情報の管理など、手動で実施すると大変です。
そこで、Power Automateを使うと、outlookのメールに自動返信したり、受講者情報を自動でexcelに追加したり、不毛なofficeツール作業を自動化できます。

クラウド環境

技術研修で悩ましいのが演習環境の整備です。
受講者にマシンを用意してもらう方式だと、環境の足並みが揃えられず様々なトラブルが発生します。
「(Windows端末)ないです」
「(Linux端末)ないです」
「(プロキシでつながら)ないです」
「(このツールインストールでき)ないです」
「(そんなファイルパス)ないです」
「(ツールが動か)ないです」

そこで重宝するのが仮想化技術やクラウド技術です。

演習環境のスナップショット作成や複製ができるため、受講生が増減したり、演習環境が復旧不能になったりしても柔軟に対応することができます。
特にクラウド環境を使うと、ホストマシンに限らずネットワーク構成などもテンプレート化できるため、様々な環境に対応できます。
ブラウザ上でlinuxコンソールやwindowsデスクトップを操作できるため、受講者の端末に依存しない環境を用意できることも魅力です。

なお、クラウド環境では、ルータ端末やスイッチ端末などのネットワーク機器は抽象化されてしまいますので、ネットワーク演習などを実施する際は工夫が必要です。
こういったケースでは、クラウド環境で用意したVMの上にさらに仮想化ソフトウェアやネットワークシミュレータを載せることで物理環境と同等のものを用意できます。

CTFのように大量のマシンホストを提供する場合にはコンテナ利用も視野に入りますが、大半の研修はクラウドで事足りると思います。

研修動画化

最後のテクニックが研修の動画化です。
資料と口頭説明を動画化しておけば、これ見て質問あったら聞いてください、という放置プレイが可能になります。(内職し放題)

ただ、動画化するにも、セリフテキストを用意したり、録画作業があったりと時間がかかります。
さらに研修資料を直すようなことがあれば再録画が必要になります。正直現実的な運用ではありません。

そこで、もう一工夫が研修動画の半自動生成です。
www.alta.co.jp

PowerPointのマクロで、スライドテキストを自動音声として埋め込み、保存することで録画作業することなく自動音声動画を作成することができます。
十分に聞き取れる範疇でスライドの画質も綺麗に動画できる点、読上げテキストを編集するだけで更新できる点は大きなメリットです。
たまにイントネーションや漢字の読みがおかしかったりするのですが、句点を挟んだりひらがなで記述することで調整できます。

ゆっ〇り音声とかは商用ライセンスの問題があるので気軽に使えませんが、MS固有の機能であればエンタープライズでも安心して導入できるはずです。